親指のホームポジション


下段と[親指キー]がツライチかどうかよりも、「親指のホームポジション」が物理的に明確であるかどうかの方が、親指シフトの快適な打鍵に対する影響が大きい。
「親指のホームポジション」という考え方いいですね。
ここのトップの画像にホームポジションの位置を色分けで示しているのは、親指に関しても安定したホームポジションを与えたいという願いからでもあります。


「親指のホームポジション」という考え方を導入して考えると、[無変換][空白][変換] というキー並びになっている場合、空白キーを左右の親指のホームポジションとすると空白キーは長くないと無変換キーや変換キーと干渉するという問題が発生してきます。無変換キー、変換キーを親指のホームポジションと考えた場合、空白キー幅が短い方が干渉しにくくなります。


無変換キー、変換キーは、マックのJISキーボードをみてもわかるとおり基本的になくても困らないキーなので、長い空白キーを望む人が多く実際にそういったキーボードが発売されています。
一方、無変換キー、変換キーを親指のホームポジションとするものとしては快速親指シフトがあります。
実際のOADG109Aキーボードは、空白キーの長さや位置を定めていないので、最適な親指のホームポジションはキーボードによってマチマチであるというのが現実です。


私が「親指のホームポジション」という考え方にたどりつくきっかけとなったのが、Apple の JISキーボードの[かな]キー、[英数]キーの使い勝手を参考にして作った次の配列です。「英数キー、ひらがなキーの動作」のエントリーのようなキー設定で使うことを想定しています。



この配列を考案するまでは、親指シフト方式用のキーボードをあれこれ考えていましたが、なかなかコレだ! と思えるものを作れずにいました。そこで視点を変えてJISかなネイティブとしての立場から日本語キーボードの改良を行うとしたら、どういうものがいいのかと考えて出来た配列です。こう書くと、JISかな専用の配列だと勘違いされる事があるのですが、[ひらがな]キーで IM ON して、入力文字種を[ひらがな]に切り替えたときのかな入力モードは、IM の「入力方式」の設定に従いますので、ローマ字入力の時にも、[ひらがな]キーと[英数]キーで IM の ON/OFF の設定をして使う事もできます。


このような使い方で改善される問題としては、URL などの入力の時に、[英数]キーを打鍵する事で確実に、半角の英数文字を入力する事ができるようになるという事があげられます。また、Apple のJISキーボード風の[ひらがな]キーのメリットとしては、日本語入力をしようと思って漢字キー(Alt+半角/全角 or 半角/全角)を押して、逆に IM OFF にしてしまうというトラブルを防ぐ事ができます。


この配列の欠点としては、空白(スペース)キーの長さによって使い勝手が大きく左右されるという事があり、それをどう解決したら良いのか考えてたどりついたのが、「親指のホームポジション」という概念です。


[G][H] の間の垂直線はホームポジションに手を置いている場合の中心軸となりますから、再下段のキーをその軸を中心に左右に割り当てていけば、親指のホームポジションを明確に出来るという事に気がつき次のような配列を作ってみました。

こうする事で、[英数]キー、[ひらがな]キーといった機能的な対称性を中心軸からの対称性としてデザインされるようになり、[英数]キー、[ひらがな]キーの位置を安定化させる事が出来るようになりました。


ここまでくると、[V] の下にある左手の親指のホームポジションのキーと [N] の下にある右手の親指のホームポジションのキーに、どういったキーを割り当てるかという事になり、機能的な対称性を考えるなら、[無変換]キーと[変換]キーを割り当てる事になりますが、OADG109Aキーボードと差し替えて使う事を想定して、[変換]キーは[空白]キーで代用できるので、次のようにしました。



Fnキー以外の各キーがユニークなキースキャンコードを出力するので、ソフトウェアによるキーカスタマイズを行う場合にも制約が生じないようになっています。


上記配列案は、今までに考えてきたいろいろなアイディアを具体的なカタチにしたものとなっていますので、これを参考にして、よりよい日本語キーボードが生まれるきっかけとなることを願っています。